HOSOO Magazine
「More than Textile」issue 04

織物の常識を超え、人々の想像を超えるアートテキスタイルを生み出すHOSOOの活動の背景にあるストーリーや過程を記録したパブリケーション。

今号のテーマは“Circle”です。そこには、人間と自然の循環や、人々の輪など、さまざまな意味が込められています。

今年、HOSOOがミケーレ・デ・ルッキ氏率いるAMDL CIRCLEとのコラボレーションによって発表した新作テキスタイル「The MindLandscape」や、樹齢180年の桜との出会いから生まれた作品シリーズ「HOUSE of HOSOO Blossom」は、ともに木をテーマとしています。

木は、葉を繁らせ、花を咲かせ、実を結び、紅葉しては、やがて枯れた葉を落としますが、一年後には再び葉を繁らせます。こうした周期的な活動を行いながら、木は、地下の水分を蒸散させるなど、自然界のなかでさまざまな循環を担っています。

「The Mind Landscape」や「HOUSE of HOSOO Blossom」は、木のこうした「循環（Cycle）」に学ぶとともに、その複雑な造形や美しい色彩をインスピレーションとして生み出されました。四季の時間は円を描くように進んでゆきますが、それは同一の円ではなく、ちょうど木の年輪が毎年増え少しずつ成長してゆくように、螺旋的に進行してゆきます。それは一つのモティーフをループさせながら奏でる、音楽のようでもあります。今号では、こうした螺旋の意味を再考するためにも、2016年に公開したデヴィッド・リンチ氏とのコラボレーション作品《SPIRAL》を振り返っています。

あるいは、今号で対談させていただきましたシアスター・ゲイツ氏は、民藝とブラック・カルチャーを融合させながら、抑圧された、忘れられた過去を、新しいアートとして現代に循環させてゆく活動をされています。シアスター氏の活動とは、「社会彫刻」（ヨーゼフ・ボイス）とも呼べるものでしょう。HOSOOのミッションは、私たちの未来のために、人間と自然の循環に適ったかたちで工芸を社会に実装してゆくことです。そのためには、職人の伝承をつないでいくとともに、世界のさまざまな分野の方々と連携してゆかなくてはなりません。そうした小さな社会（Circle）を螺旋のように徐々に大きくしてゆくことで、より良い未来をつくってゆければと考えています。

美しいものを求め、創造的なアイディアとクリエーションを愛するすべての方々の手に届くことを願っています。

全160ページ
サイズ:222mm×284mm
言語:日本語/英語